このブログは、中将棋や大将棋などの古将棋、変則チェス・古チェスやフェアリー駒など、             現代では忘れ去られてしまった将棋やチェスのルールや駒たちを再発見・ご紹介していくブログです。              古いものを再発見して、新しい将棋やチェスの文化を発信していけたら、という意味があります。               
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2014年09月13日 (土) | 編集 |
このシリーズは、少しブログチックな感じで、私が犯してしまった中将棋の失敗を
記録していこうというシリーズです。

そのときの思いつきと、軽い感じで更新していきます。

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1_1.png

これは81dojo中将棋のHachu_2L(こちらが2枚獅子のハンデ戦)と、
対局をした時の盤面です。

相手が、▲76鳳凰と指した局面。
次に、▲58鳳凰と指されてしまうと、飛車と龍王の両取りがかかってしまいます。

58の地点を守るうまい手はないので、たとえば、△6a龍として両取りが
かからないようにしておくというのは一つの手です。

しかし、よく見ると相手の獅子は今、足がない状態です。

例えば、▲89獅子として、相手の獅子を狙えば、相手の獅子を脅かしつつ、
87の位置に出られたら、攻めに使いやすいなあと考えていました。

1_2.png

そこで私は、▲89獅子左と指しました。
というのも、何となく、▲89獅子右とすると、獅子を串刺しにされてしまいそうで、
何とな~く、指したくなかったのです。

ところが、これが大失敗の手でした。

1_3.png

9aの地点にいる獅子は、bcの地点への竪行の成りを防ぐ位置だったのですが、
それをうっかり忘れてしまっていたのです。

これが、あいての獅子のかげ足となってしまい、
こちらは、相手の獅子を取ることができなくなってしまいました。

このあと、▲87獅子としても、恐れていた鳳凰の両取りを食らう上に、
相手に飛牛を作らせてしまうという大失態を招いてしまいました。

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今回の失敗は、獅子の守備範囲を忘れて攻めに出てしまったことと、
それが、かげ足になることを失念していたという2つの点がミスの元です。

そもそも、獅子のかげ足はなかなか珍しいので、正直気づきませんでした...

完全にやられてしまいましたね。
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テーマ:将棋
ジャンル:趣味・実用
2013年11月17日 (日) | 編集 |
この記事では、2013年8月17日に日本中将棋連盟主催により行われた、
中将棋迷人戦の棋譜をできる限り解説しようというものです。

あくまで、私の実力レベルで解説するものなので、
至らぬ点もあるかとは思いますが、できる限り詳細に解説します。

なお、棋譜は81dojoの棋譜ビューアで見ることができます。
http://81dojo.com/kifuviewer144.html?kid=508301
こちらもあわせてご覧ください。

また、この記事は中将棋迷人戦2013 棋譜解説part3の続きになります。

▲先手:宮居正芳氏|△後手:神崎健二氏

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105.▲3b角 106.△97歩 107.▲87歩 108.△87-96獅
109.▲77歩 110.△a7-96獅 111.▲69奔 112.△95獅(途中図7)

棋譜解説2_7a

この時点で、後手は2歩を駒得しています。
ここで、中将棋の"歩の役割"について、少し説明したいと思います。

<中将棋での歩の役割>
中将棋では、本将棋のように駒を再使用することができません。
そのため、本将棋ほどに歩の活用や手筋というものは存在しません。

したがって、歩を取る・歩を進めるということの意味が本将棋とは全く違います。

中将棋において、歩はすべての筋(縦の列)に1枚ずつ配置されます。
そのため、途中図7の後手が獅子で歩を取ったという行為は、
8,9,a筋から相手の歩を消してしまうということになります。(当たり前のことですが)

ここに3つの意味があります。
・後手は(先手の歩がない)9,a筋の歩を障害なく進ませることができる。
・先手は9,a筋において、銅・銀・豹が最も弱い駒になる
・走り駒で獅子が狙われやすくなり、獅子が出にくくなる。

1つめの意味は、読んで字のごとくですね。
中将棋において、歩は相手の歩と相殺される形で盤上から除かれる場合が
多いのですが、9,a筋の歩はこの時点で相殺されることがなくなります。

つまり、(1)歩に足をつけておくことと、(2)歩の斜め前を守る
ということができれば、容易にこの歩が取り除かれることはありません。

重要な拠点として活用することができるのです。

後手は97の歩を拠点として使うために守る努力をしなければなりませんし、
先手はこの歩を取るために、88に獅子を持ってくることや、
97に駒の利きを増やすための努力をしなければなりません。

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また、2つめの意味として9,a筋の最弱の駒が銅・銀・豹になると書きました。

後手は、駒をタダ取りされる場合を除いて、銅・銀・豹が歩と交換されてしまう、
という事態を防ぐことができることになります。

つまり、9,a筋に出てきた攻めの小駒を拠点として活用しやすくなるということです。
攻めの小駒で築かれた拠点は、先手をして同じく小駒で払うしかありません。

この時点で、9,a筋は後手にとって支配しやすい領域になったということなのです。

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3つめは、後手にとって獅子が使いにくくなるということを意味します。
歩という駒は、拠点を確保する駒としては前述のとおりなのですが、

竪行や飛車・龍王などの縦に動ける駒の動きにフタをするという、
自駒を制限させる役割も持ってしまっています。

つまり、先手は9,a筋において、竪行や飛車・龍王を
自由に使うことができますが、後手は使うことができません。

このことは、獅子が前面に出にくくなるということにつながります。

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今後の方針として、先手は縦の駒で8,9,a筋を支配することが必要になります。
対して後手は、その支配をかいくぐって
拠点を守るための努力をしなければならなくなるということです。

113.▲67歩 114.△a6歩 115.▲88銅 116.△86銀 117.▲7a龍 118.△92龍
119.▲68獅 120.△a5馬 121.▲6a奔 122.△75歩 123.▲5a銅 124.△74鳳
125.▲69銅 126.△83飛(途中図8)

棋譜解説2-7+

<安い駒ほど真ん中に>
中将棋では初期配置において、強い駒ほど真ん中に、
弱い駒になるほど端に置かれます。

途中図8では、先手側の龍は初期配置に置かれています。
対する後手は△83飛と、飛車を龍に向かい合わせる形で真ん中に持ってきました。

このことによって、後手の8筋への支配力が一層高まっています。

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同じように、竪行を真ん中に持ってくるような手も強力です。
竪行で真ん中の筋を確保してしまえば、
飛車や龍はその筋を支配しにくくなってしまうからです。

中将棋において縦に動ける駒というのは、
盤の筋を支配することが役割と言えるでしょう。

そのとき支配力でいえば、竪行が最も強く、竪>飛車>龍>奔王
の順に支配力が弱まっていきます。

筋を支配するのは、できるだけ弱い駒に任せて、
強い駒は弱い駒と対面しないように、工夫をする必要があります。

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今回は、中将棋における歩の拠点的な役割と、
縦の駒を使った、筋の支配力の違いについてお話ししました。

次回以降は、駒のぶつかりあいも激しくなり、重要な局面が続きます。

中将棋迷人戦2013の棋譜解説part5に続きます。
テーマ:将棋
ジャンル:趣味・実用
2013年10月14日 (月) | 編集 |
この記事では、2013年8月17日に日本中将棋連盟主催により行われた、
中将棋迷人戦の棋譜をできる限り解説しようというものです。

あくまで、私の実力レベルで解説するものなので、
至らぬ点もあるかとは思いますが、できる限り詳細に解説します。

なお、棋譜は81dojoの棋譜ビューアで見ることができます。
http://81dojo.com/kifuviewer144.html?kid=508301
こちらもあわせてご覧ください。

また、この記事は中将棋迷人戦2013 棋譜解説part2の続きになります。

▲先手:宮居正芳氏|△後手:神崎健二氏

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61.▲59獅 62.△42銀 63.▲68歩 64.△84銀
65.▲8a銀 66.△65歩 67.▲bb豹 68.△64銅 69.▲ca豹 70.△53銀
71.▲b9豹 72.△86歩 73.▲a7歩 74.△85銀 75.▲a8豹 76.△62鳳
77.▲97仲 78.△72虎 79.▲98歩 80.△93銅 81.▲99銀 82.△42馬
83.▲8a龍 84.△84鳳 85.▲69獅 86.△76獅 87.▲57獅(途中図5)

棋譜解説2-5
                  <途中図5>

61手目から90手目あたりまではお互いに駒の繰り出しが続きます。
中盤戦に向けて、どのあたりでケンカを始めようか、その準備をしています。

先手は65.▲8a銀から83.81.▲99銀までで、攻めの小駒である銅・銀・豹を
4段目まで上げています。

その後83.▲8a龍として、一度7aの位置に動かした龍を8aに戻しています。
途中図5をみればわかりますが、将来的に87や88の位置に獅子が来られると
先手としては非常にまずいので、その牽制ということですね。

また中将棋では、初期配置で走り駒の後ろに小駒が並べられています。
戦いが始まる前に攻めの銅・銀・豹を走り駒より前に移動させることは、
中将棋において非常に大切なことです。

先手のように龍を7aに動かして小駒の道を作ってあげましょう。
走り駒によって小駒が前に進めなくなる、という事態は避けるようにします。

後手の銅・銀・豹は左右どちらの駒も、
前に出ていくための道が確保されています。

一方先手の4b,5bの位置にいる銅・銀は、走り駒によって道をふさがれています。
この状態のまま開戦してしまうと戦力が不足してしまうでしょう。

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後手の側は60手までの高獅子外しによって、
86の位置に歩を進める権利を手に入れました。

このことは、駒の展開において非常に重要なことです。85や75の辺りから
攻めの小駒を進ませることができ、86や76の辺りを拠点として
後手のものにすることができれば、有利に戦いを進められます。

後手は序盤の折衝で中央を占拠することができました。
今後は、獅子以外の駒でその拠点を強固にしていく必要があります。

拠点を固めるという考え方は、囲碁のそれに似ているかもしれませんね。

後手は86に歩を進めています。この歩を先手の獅子で取られるわけにはいきません。
後手は、77の位置に先手の獅子が来ないようしっかりと守らなければなりません。

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88.△73麒 89.▲47仲 90.△62虎 91.▲48歩 92.△72象
93.▲49馬 94.△a4銅 95.▲46仲 96.△97仲 97.▲97同歩
98.△54銀 99.▲bb竪 100.△96歩 101.▲45仲
102.△45同歩 103.▲ba角(途中図6) 104.△87歩

棋譜解説2-6
                  <途中図6>

94手目の△a4銅まで、両者ともに駒組みを続けています。

先手は、停滞していた4b,5bの小駒の道を作る93.▲49馬のために、
仲人と歩を一つ前に進めます。

もちろん、将来的に▲57歩と突いて76の獅子を狙う準備も兼ねています。

後手は玉の囲いを整えています。
もちろん、後のことを考えて早々に玉を安定させておきたいのですが、
この局面では、手待ちの意味も強いのでしょう。

中将棋における、玉の囲い(といっても初期配置でガチガチに固いですが)は、
序盤に行うのではなく、中盤に相手の手を待つ場合に行うことが多いです。

攻めや他の手が忙しければ、そちらを優先することも多く、
必ずしも優先度が高いわけではありません。

玉の囲いについてはこちらの記事もどうぞ。

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さて、先手は95.▲46仲と仕掛けていきました。
対する後手は、96.△97仲とそれを無視しています。

先手がもし96.△97仲を構わずに97'.▲45仲と取り込めば、
98'.△98仲、99'▲98同銀、100'△98同獅(参考図7)となり大惨事です。

棋譜解説2-6a
                  <参考図7>

もっとも強行的な99''.▲44仲成という変化は
100''△99仲成、101''.▲33成象 102''.△8a成象
103''.▲42成象 104''.△7b成象(参考図8)が王手になってしまい、

105''.▲7b同象 106''.△42金。
飛馬-龍麒銀交換、先手のほうが少し駒損といったところでしょうか。
(中将棋連盟の定める駒の得点に換算すると、2.7点差(後手駒得)になります。)

※ちなみに、104'''.△9a成象と馬を取る手は105'''.▲52成象
106'''△52同金、107'''▲9a奔となり、1.3点差(後手駒得)になります。

棋譜解説2-6b
                  <参考図8>

参考図8のような強行策は実戦ではなかなか選ばれにくいですが、
価値の高い駒を取りつつ、玉に早くたどりつける側が駒得を
することになるので、本譜の場合なら後手の方がその条件に合致します。

まあ、そのような変化になることは考えにくいので、
先手は97.▲97同歩としています。

両者ともに、まだ本気で殴り合うという感じではなく、
軽いジャブを交わした、というような雰囲気です。

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後手は98'.△46仲とはせずに、98.△54銀としています。
このようなとき仲人を取ってしまうと、先手の獅子が46の地点に立ち、
両側の歩も一緒に取られてしまいます。

中将棋ではこのような仲人を絶対にとってはいけません。
ただし周囲に獅子がいなければ、取った方がいい場合が多いです。

しかし、後手が▲46仲を放っておくと、99'▲45仲 100'.△45同歩
101'.▲45同獅となり、結局獅子が乗り込んでくることになります。

後手は46の地点を守るのではなく、45の地点を守らなくてはなりません。

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先手は99.▲bb竪~103.▲ba角として、76の地点にいる獅子を追います。
後手はもちろん104.△87歩とします。104.△75獅なら105.▲77獅として、
86の歩を取られてしまいます。

後手の獅子はこのために76の地点を離れることができません。

ちなみに、103.▲ba角とするまえに、101.▲45仲として仲人を捌いたのは
もし105.▲77獅となったとしたとき、仲人を取られてしまうのを防ぐためです。

99.▲bb竪~の手も、先手から後手に対する軽いジャブと考えてよいでしょう。

ところで、99.▲bb竪と竪行を引く手について考えてみましょう。
中将棋では、基本的に価値の低い駒を前に出し、価値の高い駒を後ろに置くのが
いいとされているからです。(銅・銀・豹を前に出すのと同じです。)

私は基本的に竪行を前に(b9竪)としてから103.▲ba角としています。
しかしこれだと横行の働きが著しく制限されてしまいます。

竪行を飛車の後ろに控えさせて、連携させて使うのであれば
問題ないと考え、先手は99.▲bb竪としたのでしょう。

このあたりの含みは、性格や考え方によって違いがあるので、
一概にどちらがいいということではありません。

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今回は中盤の駒組みと、歩や仲人を使った攻撃について取り扱いました。
まだ変化の少ない局面ではありますが、
今後の展開に影響する重要な場面でもあります。

次回は、中盤戦も佳境に入ってきます。
駒も多くぶつかりあうので、あまり進まないかもしれませんが、
気長にお読みください。

中将棋迷人戦2013の棋譜解説part4に続きます。
テーマ:将棋
ジャンル:趣味・実用
2013年10月08日 (火) | 編集 |
この記事では、2013年8月17日に日本中将棋連盟主催により行われた、
中将棋迷人戦の棋譜をできる限り解説しようというものです。

あくまで、私の実力レベルで解説するものなので、
至らぬ点もあるかとは思いますが、できる限り詳細に解説します。

なお、棋譜は81dojoの棋譜ビューアで見ることができます。
http://81dojo.com/kifuviewer144.html?kid=508301
こちらもあわせてご覧ください。

また、この記事は中将棋迷人戦2013 棋譜解説part1の続きになります。

▲先手:宮居正芳氏|△後手:神崎健二氏

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今回は、25手目から解説いたします。
25.▲77獅 26.△b2豹 27.▲28歩 28.△22豹 29.▲2b豹 30.△85歩
31.▲89鳳 32.△25歩 33.▲78歩 34.△56獅 35.▲1a豹 36.△92銀
37.▲4b銅 38.△42銅 39.▲29豹 40.△84奔(参考図4) 41.▲6b虎
42.△75奔(途中図3)

棋譜解説2-3
                   <途中図3>

40手目まではお互いに小駒を繰り出す手が続きます。

中将棋では大駒(走り駒)で攻めるのではなく、
小駒で攻めることが重要になってきます。

走り駒は小駒に防御されてしまうと攻撃できない(駒損になる)ので、
小駒を繰り出して走り駒の利きの頭に置き、
(駒損をすることなく)敵陣を突破するきっかけを作り出します。

ただし小駒はスピードが遅いので、繰り出せるときにできるだけ前に出しておく
ということが大切です。

それと同時に、奔王を後ろに下げるということも重要になります。

<奔王を後ろに下げる工夫(後手)>

途中図3では、後手が84奔から75奔としています。
75奔とする手は、先手の高獅子を外す手ですが、先手の獅子を引っ込ませてから、
△66獅や△76獅とすれば、高獅子が後手のものになります。

基本的に中将棋の後手番での序盤から中盤にかけての目的は
先手の高獅子を外すことにあります。

それと同時に、奔王を後ろに下げる目的もあります。
中将棋において奔王は2番目に強い駒です。角や馬で狙われるので、
中盤以降までは後ろに下げておかなければなりません。

後手は奔王を後ろに下げる目的を持ちながら、
相手の高獅子を外せているので、満足といったところでしょう。

棋譜解説2-3a
                  <参考図4>

参考図注:40.△84奔の時点で後手は△91角としてから、△b1奔とする
矢印のような筋を思い描いています。ただ、途中で高獅子を外すために、
75に寄り道をした、というイメージです。                   

<奔王を後ろに下げる工夫(先手)>

一方、先手も奔王を後ろに下げる準備をします。
37手目の▲4b銅は、3cや4cの地点を開けて奔王をそこに持ってこよう
という狙いがあります。

しかし、この手が結果的に奔王を後ろに下げるという狙いとは
全く逆の結果を招いてしまうことになります。

この▲4b銅は▲5b銀(55手目)を強制することになります。
この5bの位置に銀がいると非常に厄介で、先手は馬や奔を動かさなければ
5bの位置を空けることができません。

つまり、奔王を後ろに下げるまでに3手かかってしまうのです。
(馬か奔を動かす→銀を動かす→奔を下げる)

手待ちをするような局面であれば、まったく問題はないのですが、
3手を手放しでできる局面は中将棋といえどあまり起こりません。

そのため私は▲4b銅~▲5b銀はあまり使わないようにしています。
▲4b銅とせずに▲4b銀とすれば、すぐに4cの位置に奔王を下げられるからです。
(※あくまで私のやり方です。)

もし対局の際、▲4b銅のような駒組みを相手がしてきたら、
真ん中の筋から攻めることや、急戦を考えてもいいかもしれません。

43.▲79獅 44.△91角 45.▲7a龍 46.△b1奔 47.▲8a銅 48.△a2角
49.▲2b竪 50.△63龍右 51.▲2a角 52.△93銀 53.▲9b銀 54.△92銅
55.▲5b銀 56.△53銅 57.▲77獅 58.△73麒 59.▲79銅
60.△75麒(途中図4)

棋譜解説2-4
                  <途中図4>

44,46手目で示されているように、後手は奔王後ろに下げます。
また、48手目で91にいる角を再びa2に戻しています。

91の地点から64の辺りに角を持ってくるような構えもあるのですが、
後手は無難に△a2角としました。

中将棋において、角はそれほど重要な駒ではありません。
むしろ、「弱くもなく強くもなく使い勝手のいい駒」という立ち位置でしょうか。

角の後ろに奔王を置いて、角を飛び出しやすくしておく準備をしています。
この構え方も、角を有効に使いやすくなるので私もよく使います。

その後は両者しばらく駒組みが続きます。

<中央を支配する駒組み>

途中図4の局面は後手にとって理想的な序中盤の陣形と言えるでしょう。
麒麟によって先手は獅子を中央に持ってくることができなくなります。

この陣形を許したのは、先手の31,33手目の駒組みが原因でしょう。

先手は31.▲89鳳 33.▲78歩として、左の角馬の道を二重に閉ざしてしまいました。
それを見て後手は34.△56獅としています。

56の地点は本来、角馬の利きが当たっている地点なので獅子が立てないのですが、
先手が駒組みのために、自らその道を閉ざしてしまったのです。

またこのような展開は、後手が小西流高獅子外しを決めて、
96に仲人を進めることができた、というのが大きいでしょう。

小西流高獅子外しは大きなメリットがあります。
それは、仲人を上げて97の地点に獅子が出られないようにすることです。

途中図4の局面で、先手の獅子は中央に出られなくなっています。

獅子が出られないということは、先手の駒組みを滞らせてしまい、
後手の駒組みを捗らせます、つまり2重のディスアドバンテージになるのです。

もし、97の地点に獅子が出ることができれば、
少なくとも、先手は少し駒組みをしやすくなるでしょう。

<まずは仲人をはらう>

もし、中将棋の対局中に小西流高獅子外しを食らって、
仲人の進軍を許してしまったときは、途中図4にような展開になることを
注意しておかなければならないでしょう。

それを阻止するために、先手はまず96にいる仲人を払うことを
考えるべきだったのかもしれません。

とはいうものの、この仲人は非常に払いにくい位置にいます。
たとえば、31'▲89獅 32'△a6歩 33'▲a7歩 34'.△同歩 35'.▲同飛と進めば
△b6馬が非常につらいのです。(参考図5)
棋譜解説2-4a
                  <参考図5>

注1:31'▲89獅~の先手の狙いは、a7の地点に獅子が立って仲人を取ることです。
しかし35'.▲同飛の局面で、a3の飛車を取ったとしても、同竪で対策されます。
もし、▲aa竪として相手の竪行を取りに行っても、今度は同龍となります。

注2:そのため、35'.▲同飛の局面で▲97仲とすることを狙いますが、
(飛車がいない局面での▲97仲は同獅子で損になります)
△b6馬によって、もし▲97仲とすれば、△a7飛車で大損になります。

31手目でこのような変化をすることはあまり有効な策ではありません。
他によい策があるのでしょうか。

もう一つは、59.▲79銅とするのではなく、59'.▲79鳳とすることです。
もし、60'△75麒 61'▲89獅 62'.△76獅 63'.▲97仲(参考図6)と進めば、
この仲人を払うことができるでしょう。
棋譜解説2-4b
                  <参考図6>

とは言っても、なかなか一筋縄ではいきません。
後手はこの仲人を取ると獅子に出てこられて面白くないので、
64'.△84銀などと放置をします。(△42銀なども考えましたが…)

もし▲96仲とすれば、仲人こそ払えますが同歩となるのであまり変わりません。

そのため、65'.▲b9竪として▲ba角の串刺しを脅しておきます。
66'.△66獅 67'.▲ba角 68'△42馬 69'.▲32角成 70.△同馬 71'▲98歩

このような展開であれば、途中図4のような形よりも
良い流れに持って行けたかもしれません。

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今回は序盤の駒組みと、中央支配について解説してきました。
ここまでの流れは後手有利の展開であるといえるでしょう。

前回紹介した、小西流高獅子外しの局面から、途中図4に至るまでの
後手の駒組みのやり方は、ほとんど丸覚えでもいいぐらい理想的です。
(奔王を一度前に出すという手はなくてもいいかもしれません。)

次回はいよいよ中盤戦に突入します。
中将棋迷人戦2013の棋譜解説part3に続きます。
テーマ:将棋
ジャンル:趣味・実用
2013年10月05日 (土) | 編集 |
この記事では、2013年8月17日に日本中将棋連盟主催により行われた、
中将棋迷人戦の棋譜をできる限り解説しようというものです。

あくまで、私の実力レベルで解説するものなので、
至らぬ点もあるかとは思いますが、できる限り詳細に解説します。

なお、棋譜は81dojoの棋譜ビューアで見ることができます。
http://81dojo.com/kifuviewer144.html?kid=508301
こちらもあわせてご覧ください。

▲先手:宮居正芳氏|△後手:神崎健二氏

宮居氏は過去の中将棋連盟主催の大会で何度も優勝している方で、
対する神崎氏は本将棋のプロ7段、かなり高レベルな対局が予想されます。

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1.▲68獅 2.△75獅 3.▲88歩 4.△55歩 5.▲67獅(途中図1)
棋譜解説2-1
                   <途中図1>

この5手は、中将棋の対局で最もよくある始まり方です。
先手が自陣から7段目に居座る高獅子という形です。

高レベルのプレーヤーでも、やはり最初は高獅子を取るというのが
この棋譜をみてもお分かり頂けるでしょう。

詳しくは、こちらの中将棋講座で解説しています。
中将棋講座・定跡編part1 ~序盤戦略・獅子の使い方 前編~
中将棋講座・定跡編part2 ~序盤戦略・獅子の使い方 後編~
(現在のウィンドウで開きます。)

6.△a5歩 7.▲58歩 8.△35歩 9.▲a8歩 10.△c5歩 11.▲c8歩
12.△c4横 13.▲c9横 14.△b5歩 15.▲38歩 16.△15歩 17.▲18歩
18.△14横 19.▲19横 20.△96仲 21.▲9b銅 22.△95歩 23.▲b8歩
24.△94馬(途中図2)

棋譜解説2-2
                   <途中図2>

19手目まではこちらも非常によくある序盤の展開の仕方です。
互いに歩を5段目まで上げて、さらに横行を4段目まであげておきます。

<2筋・b筋の歩>
ただし、お互いに(19手目の段階では)2筋・b筋の歩は突いていませんね。
これは、先手であれば28馬・b8馬とする余地を残しておきたいのです。

仮に先手が▲28馬としておけば、後手は△46仲とすることができません。
この歩を突いていないというのは、若干のアヤを残しておきたいわけです。

<小西流高獅子外し>
20手目の△96仲~24.△94馬は小西流高獅子外しに似ています。
手順のように、仲人と歩を上げてから、馬で獅子を狙う形です。

これによって先手の獅子は、その居場所を変えなければなりません。

かなり先になりますがこの手によって、先手は34.△56獅、60.△75麒を許し、
後手のセンター支配を許してしまうことになります。

さて、今回はこの小西流高獅子外しをすこし詳しく解説しましょう。
※小西流高獅子外しの原典はコチラです。(spacemanの中将棋定跡研究)

<小西流高獅子外し・準備>
この"小西流高獅子外し"は後手番で非常に使いやすい獅子追いの方法です。
とくに、駒を展開しながら獅子を追えるので、非常に効率がよい。

後手はこれを考慮に入れつつ、2手目から駒を動かしていました。

まず、2.△75獅とした手、これは小西流高獅子外しをするうえで重要です。
もし、2'.△65獅としていたら、(参考図1)のようになるので、△96仲とできません。

棋譜解説2-2a
                   <参考図1>

また、参考図1のようにお互いの獅子が同じ筋にいる場合、
右側(45)の仲人を前に出して高獅子外しをすることができません。

後手にとって、この作戦を成功させるには互いの獅子が別の筋にいる
ことが必要不可欠なのです。

したがって、2.△75獅とすることは、何気なく見えますが重要な手です。

同様に、6.△a5歩も小西流高獅子外しを成功させるには重要な手です。
もし、6.△a5歩とせずに早まって、6'.△96仲 7'.▲38歩 8'.△95歩とすれば、

棋譜解説2-2b
                   <参考図2>

このようになってしまうと、仲人を獅子から防ぐ術はありません。
そのため、小西流高獅子外しは急ぎすぎるとよくないのです。

<小西流高獅子外し・対策>

小西流高獅子外しはなかなかに強力な後手の定跡です。
先手を持って、それに対策することがなかなか難しいのです。

対策としては、"spacemanの中将棋定跡研究(現在リンク切れ)"にも載っているように、
先手が獅子を上げるのを遅らせて、相手をはめることです。

手順は1.▲68獅 2.△55歩 3.▲88歩 4.△75獅 5.▲47仲 6.△76獅
7.▲48歩 8.△85歩 9.▲49馬 10.△68獅(参考図3)

(参考図2のようになるので、7.▲48歩の前に▲38歩を入れておくとよい)
棋譜解説2-2c
                   <参考図3>

また別の対策として、先ほど小西流高獅子外しを決めるための条件は
互いの獅子が別の筋にいることだ、と書きました。
(ただし、両側の仲人が上げられていない状況に限る)

したがって、本譜は1.▲68獅 2.△75獅 3.▲88歩となりましたが
1.▲68獅 2.△75獅 3'.▲58歩として、5'.▲77獅子と
出ていく準備をして、後手の獅子と同じ筋で高獅子を取るようにします。

こうしておくと、3.▲88歩と突く手の意味(56の地点に獅子を立たせて、
45にいる仲人を取りにいくというもの)がなくなりますが、
その反面、小西流高獅子外しを防ぐ効果があるかもしれません。

3'.▲58歩とする手は、まだまだ研究されていないので、
はっきりと申し上げることはできませんが、小西流高獅子外しを防ぐという意味で
読者の方も研究してみてはいかがでしょうか。


24.△94馬(途中図2)となるような局面は、
小西流高獅子外しの成功例です。先手の獅子は隣に一つずれることになりますが、
以然として、高獅子を保っている状況であるといえます。

ここから後手の方針は、77にいる獅子を狙う手を作り出すことになります。
獅子を中央に入れないようにして、後手陣の拡大を狙います。
それは、次回以降に解説することにしましょう。

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本記事では、小西流高獅子外しの手順を解説しました。
中将棋の対局では、ここまでの序盤は典型的なもので、
手順をそのまま覚えておくというのもいいかもしれません。

中将棋迷人戦2013の棋譜解説part2に続きます。
テーマ:将棋
ジャンル:趣味・実用
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